Column お知らせ

空き家 2015年12月13日

壁塗りワーク20151129

         

気がつけば、山の緑色はだんだんと茶色くなって、空き家から見える景色も随分と変わりました。

ここからの景色を気に入っている人が、作業に通ってくる皆さんの中でも特に多いのは、私にとって、とても新鮮な発見です。

かくいう私も、地元の景色はとても気に入っています。

雨上がり、山から霧が立ちのぼる姿や、迫ってくるような星空に、切り絵のように真っ暗な世界。コントラストが利いた夏の青空や、冬のきりっとした寒さが際立つ雲海…。ひとりでひっそりと散歩するたびに、胸がきゅうっとなるのです。

しかし、こうやって見てきた世界が、特別だと感じたことはありませんでした。当たり前に享受してきたものだったのです。よく、そこに住んでいる人は「ここは何にもない」と言う、なんて話を聞きますが、本当にその通りです。その土地の心地よさは実感しているんだけど、当たり前すぎて「何が?」と聞かれたら、具体的に答えることができない。そんな感じです。

私は当初、何もないけど、それを認めるのは悔しいから、ここに人の流れを作りたいと思いました。何もないけど楽しいんだよって。だから今でも、どうすればこの地区に人が来てくれるのか、ということを念頭において、これからを考えています。

だけど、皆さんと話していたら、そればっかりが正しいことではないんだと、ぼんやり思うようになりました。ここにやってくる人は、必ずしも、誰かと繋がりたいわけではなくて、この土地でただ何かを感じたいだけ、静かに佇んでいたいだけ、ここで日々を過ごしている私と同じような気持ちで、この土地に通ってきていたりするのです。

私の日常を、非日常として、日常に取り入れようとしている人がいる。とても不思議な気分です。

ここに出来上がりつつある場所は、色んな視点から切り取ることができるんですね。こうしなければならない、という気持ちは隅っこに置いて、曖昧なままやっていけたらいいなあと思いました。色んな思考が共存し合える場所になりつつあることを、実感している今日この頃です。

というわけで、すっかり寒くなりましたが、壁塗り頑張りました。
作業のようす。